かつて月山の山頂に祀られていたという十三仏。
十三仏は初七日・百ヵ日・一周忌など、回忌ごとに亡くなった方の仏道修行を護り助ける仏様と言われています。
庄内人の宗教観はとても独特で、人は亡くなると出羽三山に籠もって仏道(修験)修行をし、33回忌まで勤め上げると山頂から神になると信じられています。
月山の山頂はまさにこの世とあの世の境目。そこにこの十三仏が祀られていたということはとても象徴的です。
明治元年に善寳寺へと引き取られた時は、「仏様が山から郷に下りてきた」として大きな話題となったと言われます。
【庄内の家屋の神仏の祀り方の謎】
庄内に昔からあるほとんどの民家の仏壇の真上には必ず「神棚」が祀られています。
つまり神と仏と同じ位置に上下に祀られているのです。
家の作りがそもそもそのようになっています。
致道博物館さんに江戸時代の古民家がありますが、この様式になっています。
善寳寺も本尊の薬師如来が祀られる大本堂の奥に登っていくと、龍神様が祀られています。
一般に神棚と仏壇は分けて祀られるのがほとんどで、この上下に神棚・仏壇と祀られる様式は他の地域ではあまり見られないようです。
これは神仏習合の山岳信仰の影響ではないかとも考えられます。
出羽三山は「生まれかわりの山」と言われますが、この深く高い山によって人は仏に成り、神に成ることができると信じられます。
その仏から神への道筋が家の仏壇と神棚の位置でも表されているようです。
明治時代の廃仏毀釈の影響は庄内も酷かったようですが、いまだに神仏習合の日本人古来の信仰はこの庄内には色濃く残っています。
それは山に対して深い畏敬の念を庄内人が強く持っているからでしょう。
庄内の出羽三山。深い信仰を育む大切な聖地です。
実はいま十三仏様達は致道博物館さんの企画展に主張中でございます。十三仏様達はとても立派に展示されておりました。善寶寺からは十三仏だけでなく、五百羅漢像や秘蔵の太刀なども9月14日まで致道博物館様でお目にかかれます。まだ行ってない方はぜひ足をお運び下さい。